楽しい本作り生活

「文響社」という出版社で書籍デザイナーとして働きながら、本や漫画、映画や舞台など多くのものに刺激をもらっています。 ここには自分が日々感じたことを備忘録的に書き残していきたいです。 たとえ明日自分がこの世界にいなかったとしても。少しでも他者を勇気付けたり、楽しませるものを世に送り出しておきたいと願っています。 よろしくお願いします。

こんばんは。森下です。

皆様には好きな景色はありますか? 私は、とてもベタなんですが桜が好きです。もちろんその色も綺麗だし、満開になった時の華やかさと、それが散っていくときの儚さの対比もいい。そして何より、桜とともに訪れる春という季節が好きなんですね。内向的な性格の私でも、自分の体の中に新しいことを行うエネルギーや、変化することへの肯定感が満ちていくのを感じます。中学時代に合唱曲として皆で歌った『春に』の歌詞を、毎年思い出しています。

そんな私にとって、今週は素敵な桜を見る機会が二度ありました。一度目は、出社した際に会社の方とご一緒したランチで。私が座った席からは、そのお店のテラス席が見え、その席にちょうど春の日差しがあたっていました。その日の輝きとお店のある通りに並んでいる桜の木のピンク色、そして青空のコントラストが美しくて、見ていてとても温かに気持ちになりました。時折風が吹くと、テラス席にはハラハラと桜の花びらが舞い落ちてくる。そんな光景も美しかったです。

二度目はまた別の日のお昼ごろ。ある用事のために私は妻と一緒に車に乗っていました。そのとき走った道もまた両脇の桜並木がとても美しかったのです。ここでもまた花びらがフロントガラスに向かって舞い飛んでくるのが、まるで花吹雪のトンネルの中を進んでいるようで、不思議なワクワク感と高揚感を感じました。自身の体温が上がっていくような、そんな気持ちがしましたね。

今年は暖かな日が続いて開花が早まったことや、週末に重なった雨などの影響で、お花見の時期を逸してしまったと思っていたのですが、思いがけずそんな素敵な桜を見ることができて嬉しかったです。

こんな風に、私は綺麗な景色を見てすごく心が高揚したり、何かたまらなく寂しかったり、切なくなったり。ともかく心が動かされることがよくあります。それは例えば高い山の頂上とか、水平線の見える丘といった特別な場所まで行かなくてもいいのです。ほんとに、何の変哲もない場所でだって心が動かされる光景に出会うことはありました。

少し思い返してみるだけでも、これまでに見たたくさんの光景が浮かんできます。

美術大学の時、食堂の窓から日が射しこむ中庭が見えて。そこに立っていた友人の上に、まるでシャワーのように桜の花が舞い落ちてきたこと。

高校生の頃、美術予備校での授業を終えて歩いていた池袋の街で、ビル群の立ち並ぶ通りから少し裏道に入ったところで見上げたビルと、無骨な非常階段。

浪人時代、体調不良で予備校を早退した関係でいつもは深夜に乗る下り電車を珍しく夕方に利用して。田舎だから自分以外にほとんど人もいない駅のホームが夕焼けの色に染まっていて、その中で見た電車の車体と座席の色。

20代の頃。夜遅くに知人の部屋で何時間も語り合っていたら、いつの間にかレースカーテンの向こうから朝日が差し込んできたときに、その光に照らされて知人の横顔の輪郭がぼやけていたこと。

そんな、なんでもない日常の光景が、なぜかすごく美しく思えて強烈に心に残っています。これから先の人生でも、ひとつでも多く心に焼き付くような景色に出会いたいなと思います。私は写真が下手なので、美しい光景を形として残しておくことができません。現に今回のふたつの桜もスマホで撮ってみたんですが全然ダメでした(笑)

でも、だからこそ自分の記憶の中にしっかりと保存しておきたいな。

皆様にも、これまでに見た大好きな景色の思い出がたくさんあることと思います。
もし良ければ教えてください。こういう話をたくさんお聞きしたいです。



FullSizeRender

コメント

コメントフォーム
記事の評価
  • リセット
  • リセット